かどう・まき
広島県出身。香川大学でコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はソフトウェアエンジニアとしての経験を経て、マーケティング業務とプロダクトライセンス業務に携わる。その後米国及び日本の大手ソフトウェア企業の経営管理を担当し、現在は日本で世界的ビバレッジ会社の調達組織の代表取締役社長として活躍中。
幅広い業界に携わり、米国でも日本でも活躍して来た経歴を持つ荷堂さんは、世界のどこに居てもポジティブでいる姿勢を忘れないと言う。母親業とビジネスを両立し、数々の経験から得た教訓を次に活かしていくことで、大企業のトップにまで上り詰めた。
今回は荷堂さんから働く女性へのアドバイス、今まで受けてきた影響、また出張時の必須アイテムについて教えてくれた。
≪最近はどんなことに忙しいですか?≫
最近、16歳の息子がウエイトトレーニングの最中に両腕を折ってしまったんです。ようやくこの間キャストが一つ取れたのですが、まだ食事をするにも服を着るにも手助けが必要で、まるでまた育児をしているかのような感覚に陥っています。
あとはビジネス本や、歴史小説を読むことも好きですね。でも実は秘密があって、私いつも最初のページをめくる前に最終章を読んでしまうんです!
少し変わっていると思われてしまうかもしれないけれど、幼いころからの癖のようなもので、結末を先に確認しておくと感情がそこまで昂らずに最後まで落ち着いて読むことが出来るんです。私はよく登場人物に共感しすぎてストーリーに入り込んでしまうので、予め結末を知っておくくらいが丁度良いのかもしれません。
≪休日はどのように息抜きをされていますか?≫
丁度先週、末娘と映画館に行って1日中色々な映画を観て来ました。
私にとっては映画も小説と同じで、まず結末を確認してからでないと上映中に号泣してしまうことになるので、作品に関する記事をインターネット上で全て読んでから臨みました(笑)
おかげで『ファインディング・ドリー』と『ペット』の感動シーンにも耐えることが出来ましたよ!
≪いつ頃から現在の業界に携わろうと思ったのですか?≫
私はこれまで様々な業界に身を置いてきましたが、いつも新しい分野へ飛び込むきっかけは、「何か違うことをしたい。チャレンジをしたい。」と感じる瞬間です。
初めて携わったソフトウェア関連の仕事では、セキュリティ面がとても厳しかったために家族にすら事業内容を話すことが出来ませんでした。おかげで息子にも「おかあさんはスパイなの?」と聞かれてしまう始末。最初に全く異なる業界に足を踏み入れる決断をしたのは、その言葉を聞いた時でした。子供に自分が何をしているのかきちんと説明したいと思いましたし、子供が保育所で他の友達に教えてあげることができるような、よりオープンな職業に就きたいなと感じたんです。
そうして新たにライセンス業務とプロダクトマーケティングのアドバイザーを始めた頃は、小さな企業で働くこと、そこで様々な役割を経験することに価値を見出していました。そこから世界はどのように動いているのか、貨幣はどう流通しているのか、そういったビジネスの世界に興味を抱くようになったのです。
米国長期滞在中は世界的なソフトウェア企業に勤めていましたが、2011年の東日本大震災で夫の親戚が被災してからはお互いの家族が居る日本へと戻ることに決めました。
こうした人生の転換点というのは突然やって来るもので、今までしっかりと将来設計をしたことはなかったけれど、ひとつひとつの経験がかけがえのないものとなり今の自分に繋がっています。ただ、どの業界へ進むのか深く考えたことはなくても常に与えられたチャンスには挑戦してきましたし、今後も何か機会があれば、いつでもそこへ飛び込む準備はできています。
≪人生で最も影響を受けた人物は誰ですか?≫
私は若くして結婚・出産を経験し、現在5人の子供がいます。ご想像の通り、夫の協力がなければ決して今の私はいなかったでしょう。彼は私の最大の味方であり、最高の夫です。キャリア面はもちろん、私生活も夫のおかげで本当に快適に過ごすことができています。
また、今の私を語る上で両親の存在も欠かせません。私の母は看護師で、父は世界を飛び回るビジネスマンでした。二人とも忙しい日々が続き、なかなか仕事と家庭を両立していくことは難しかったと思いますが、そうした中でもワークライフバランスは保てるのだと証明してくれました。私には2人の妹がいて、現在はどちらもキャリアを築き母親になっても働き続けています。
忙しい仕事の合間を縫って家族との時間を大切にしてくれたロールモデルとしての両親の姿が、私たち全員に大きな影響を与えたのでしょう。
≪今までのキャリアにおいて最も辛かった経験は何ですか?≫
これまで周りから困難だと言われる状況はたくさんありましたが、個人的には辛い経験として捉えていないんです。私は比較的ポジティブに、楽観的に物事を考えるので、本当に辛かった状況を「これ」と選ぶことは難しいかもしれません。
こんなエピソードがあります。
2人目の息子を妊娠した時、私は毎日満員電車の中立ちっぱなしで、片道2時間をかけて通勤していました。そこで家に近い職場を探すために出産間近で人材派遣会社に登録をしたのですが、息子が産まれてからすぐ(まだ病院で休養を取っていた時)大手ソフトウェア企業との面接を受けてみないかと連絡が来たんです。たまたまネイビーのマタニティドレスを着ていたこともあり、その日のうちに面接をしに行くことに決めました。担当医から承認をもらい、夫のベルトを借りて病院を飛び出して行った結果、面接に受かることができました。
そうした状況下でも妊娠・出産を困難だとは思わなかったですね。人生経験の一部くらいに考えていました。振り返ってみると、母親になったことがキャリア面に良い影響をもたらしたのではないかなと感じます。
毎日忍耐強く、心を広く、そしていつでも楽しく過ごすよう努めてましたから!
≪荷堂さんの業界へ飛び込みたいと考えている方々にアドバイスをお願いします≫
ビバレッジ業界は男性社会と言いますか・・・、つい2,3年前まで女性労働者の割合は非常に少なかったです。飲料水のボトルが詰まった重い箱をいくつも運んだり、自動販売機に缶やペットボトルを詰めていったりというような、女性には体力的に厳しいイメージが強くあったからではないかなと思います。しかし最近ではそうした状況も少しずつ変わり、いまでは業界全体で10%近くを女性が占めています。
この業界に入ることを希望される方には、“時には窮屈に感じてしまうこともあるかもしれないけれど、悪い方へ考えて必要以上に悩んでしまうのではなく、ポジティブな面に目を向けるようにして下さい”と伝えたいです。
私たちはここまで成熟した産業の中で未だ挑戦を続けることが可能な環境にいて、新たな歴史だって創ることができるのですから。
こうしたアドバイスはビバレッジ業界だけでなく他のどの業界の方々にも向けられると思います。他業界のトップの方々とお話しをしていても感じますが、それは男女関係なくあらゆる業界に共通して言えること。私自身IT からビバレッジに至るまで様々な業界を経験しましたが、アプローチも考え方も、実はほとんど変わらないんです。
≪kay meの魅力とは何ですか?≫
初めてこの江戸紅型のワンピースを着ていた日、いつもの社内会議に加え病院に行く予定があったのですが、担当医師の方が新しいクリニックのオープニングパーティに私を招いて下さったんです。 せっかくの機会ですから、お祝いとたくさんの方々にお会いしたいと思い参加させていただくことに決めました。
ですがイベント自体ホテルで開かれるようなとてもフォーマルなものだったので、もしこのワンピースを着ていなかったら行くかどうか決めかねていましたし、参加するにしても一旦帰宅して着替えなければならなかったと思います。
その場ですぐに「行きます」と即答できたのは、このワンピースのおかげです。
私はそうした“自信”が、毛見純子さんが仰っているようなkay meのワンピースの魅力なのだと思っています。
フォーマルな場でのコーディネートに悩んだり、迷ったりしなくていい。私はその日いつもと変わらず会議に集中して業務を終え、その後のパーティへのいきなりのお誘いも迷わず受けることが出来ました。そういった意味でkay meのワンピースは“生産性”が高いなと感じます。 他のドレスに着替える必要がないので時間に余裕ができますし、何といってもずっと華やかでいられる点がとても魅力的です。
この白ジャケットも愛用していて、出張の際にスーツケースに丸めて入れておくと現地ですぐ取り出して羽織れるので気に入っています。
前回のロンドン出張にはこのジャケットだけ持っていって、滞在先のホテルで洗濯をして着回ししていました。夜通し干しておくだけで、次の日には皺もなく乾くのでとても助かりました!
≪荷堂さんの旅の友≫
電子書籍:読書好きな私には欠かせない必需品で、特に長時間のフライトで重宝しています。カバーには末娘の写真を貼っているのでいつも癒されています。
MP3プレイヤー:このMP3プレイヤーを購入した時、私のために音楽をダウンロードしてくれないかとすぐ息子に頼みました。そうして彼が選んでくれた曲が詰まったこのプレイヤーは私にとって特別な宝物。
それ以来一回もプレイリストを変えたことはないし、いつも電車や飛行機で聴いています。彼はもう家を出て自身のキャリアを歩んでいるけれど、これを聴くとまるで一緒に旅行をしているかのように感じられるんです。
フォルダー:私の秘書が出張時に必要な書類を全て簡単にまとめるために用意してくれたフォルダーです。(前回のロンドン出張時の資料:地図、ホテル関連書類、搭乗券、現地のオススメ情報等々)出張時は限られた時間の中で多くの案件を対応しなければならないので、こうした小さな気遣いが出張を一層楽に、生産性があるものにしてくれます。
荷堂真紀さん着用アイテム 江戸紅型 アシンメトリーワンピース